ミハイロ・ペトロヴィッチ(通称ミシャ)は特殊な戦術をします。それを「ミシャ式」と呼んだりします。 このページではミシャの戦術とシステムについて解説します。

攻撃時と守備時のフォーメーションを変える戦術のペトロヴィッチのサッカー

ペトロヴィッチのサッカーは攻撃時と守備時のフォーメーションを変える特殊なサッカーをしています。

テレビなどの表示される基本フォーメーションは「3-6-1」ですが、
攻撃時は「4-1-5」守備時は「5-4-1」に変化します。

フォーメーションの変化を図にしました。

基本フォーメーション

3-4-2-1。
これはテレビなどの表示上のフォーメーションになりますので、あまり意味ないです。

基本フォーメーション

攻撃時

攻撃時はボランチの1人が最終ラインに入り、
ストッパー(ディフェンス)はサイドバックになり4バックを作ります。

浦和レッズではボランチの阿部勇樹がディフェンスラインに入り、
槙野智章と森脇良太がサイドバックになります。

ウィングバックはフォワード(FW)の位置まできて、5トップになります。

4バック、5トップになり、4-1-5になります。

4バックの相手にFWが5人いることで、数的優位が作れます。

攻撃時

守備時

守備時にはウィングバック(WB)が最終ラインに下がり5バックを作り、
5-4-1になります。

守備時

この可変システムは広島のJ2時代にできた

2006年6月、ペトロヴィッチはサンフレッチェ広島の監督に就きます。

この当時のフォーメーションは「3-3-2-2」、
ボランチは青山の1ボランチ、佐藤寿人とウェズレイの2トップでした。

2007年J2に降格する広島ですが、
ウェズレイが不在時に佐藤寿人の1トップにして、今の1トップ2シャドーの形になりました。

また、今では阿部勇樹が攻撃時に最終ラインに戻る動きは、
ペトロヴィッチの指示ではなく、当時、ストヤノフに対してプレッシャーかけられた時に森崎和幸がサポートしたことから始まります。

森崎和幸がサポートに入ることにより、
ストッパーの選手がサイドに上がれるようになりました。

この様に今のペトロヴィッチのフォーメーションは、広島時代に作っていたサッカーなのでした。

オート化されたシステマティックなペトロヴィッチの戦術の特徴

ペトロヴィッチサッカーの可変システム以外での戦術の特徴です。

ペトロヴィッチは以下の徹底した戦術を作り、オートマチックなサッカーをします。

  • 遅攻型ポゼッションサッカー
  • ワンタッチパス
  • 1トップ2シャドー
  • ピッチ全体を使う

遅攻型ポゼッションサッカーで急に加速する

ペトロヴィッチのサッカーは、じっくりパスを回しながら攻めます。
最終ラインに何度も戻したり、サイドを変えたりと攻撃のタイミングを探します。
相手の選手は「走らされる」とよく言います。

解説の水沼貴史が「スイッチを入れる」と言うのですが、
じっくり回した中でクサビ(縦パス)を入れ、急に加速をするように、攻撃が動きます。

サッカーではボールを奪ってから15秒以内にゴールが決まると言われていますが、
ペトロヴィッチのサッカーでは平均25秒かかります。

クサビを入れてワンタッチパス

ペトロヴィッチのサッカーでは1タッチパスが目立ちます。

先述の通り、攻撃に時間をかけます。
相手の守備は整った状態になりますので、相手の狭い中央を崩すには1タッチパスが有効になります。

ペトロヴィッチは練習からタッチ数を制限して、戦術を浸透させました。

1トップ2シャドー

1トップ2シャドーもペトロヴィッチのサッカーの特徴です。

1トップにポストプレーをさせ、周りのシャドーに落とします。
相手の守備が整っている状態が前提になりますので、1トップがポストプレーをして落とす(渡す)と、シャドーの選手は前を向いてボールが持てます。

特に興梠慎三はポストプレーに優れており、KLM(興梠慎三・李忠成・武藤雄樹)の連携は素晴らしかったです。

ワイドの幅と縦幅を使い、ピッチ全体を使う

ペトロヴィッチのサッカーはピッチの全体を使います。

解説の福田正博は「幅と高さ」とよく言います。

まずは幅について。

両サイドのウィングバックはボールがある位置に関係なく、サイドラインにポジションを取ります。
これは相手のディフェンスをサイドに引っ張り出すためです。

次に縦幅について。

ペトロヴィッチのサッカーではバックパスを多用します。
バックパスをすると相手の選手は前にプレスに来ます。

最終ラインから相手のプレスを剥がす(かわす)と相手の中盤が空きます。
もしくは空いた中盤にロングパスを入れます。

そうするとカウンターのような展開になり、チャンスが生まれます。

バックパスは悪いものと思っていましたが、ペトロヴィッチのおかげでその概念は無くなりました。

ペトロヴィッチの思想としては相手を引っ張り出して、空いたスペースを使うというものです。

攻撃の戦術まとめ

まとめると、攻撃の展開はこんな感じになります。

じっくりパスを回す

サイドチェンジ、最終ラインやキーパーに戻しながら探る

縦パスを入れ、加速する

ワンタッチパスでシュートまで持っていく

だいたいこれが攻撃のパターンが決まったおり、システマティックなサッカーです。

ペトロヴィッチのサッカーの弱点

そしてペトロヴィッチの弱点はこんな感じです。

  • 中盤に誰もいない
  • 守備の練習をしない
  • 対策される
  • 3枚同時代え

中盤に誰もおらず、カウンターされやすい

ペトロヴィッチの攻撃時のフォーメーションは4-1-5なので、 中盤が一人しかいません。

しかもその一人はディフェンス力のない柏木陽介です。 柏木陽介はピッチ全体に動くので、本当に中盤に誰もいない時もあります。

そのため、ボールを奪われると、相手は中盤を自由に使えますので、前を向いてカウンターを仕掛けることができます。

ペトロヴィッチの攻撃の特徴である縦パスをカットされ、カウンターをされる場面が多数ありました。

また、中盤が空いてるので、攻撃が上手くいかないと、ディフェンスの選手からフォワードの選手へロングパスが多くなる傾向があります。

そのボールも拾われるとカウンターされやすいです。

それから、攻撃が行き詰まると、槙野智章と森脇良太も上がり、その分柏木陽介がディフェンスに降りてきて、「3-0-7」になる時もあります。

守備の練習をしない

ペトロヴィッチはオフェンスの練習はしますが、ディフェンスの練習はしませんでした。

例えば、ハンス・オフトは守備から基礎を固め、堅守速攻の浦和レッズのスタイルを築きました。

ペトロヴィッチでは、まずはオフェンスを組み立てようという考えがあります。

対策される

ペトロヴィッチの5トップは相手の4バックを攻略するためでしたが、相手は5バックにして対策をしてきます。

攻めの組み立てもシステマティックなお決まりのパターンなので、対策がしやすいです。

3枚同時代え

ペトロヴィッチは同時に複数人の交代をします。

それは「プランが無いからでは」とよく言われます。

解任直前となった最後のコンサドーレ札幌戦では、ハーフタイムに3人同時に交代し、那須大亮が負傷したことにより、一人少ない状態で戦うことになりました。

徹底した戦術で構築するペトロヴィッチですが、試合中の応用が難しいところがあります。


以上がペトロヴィッチの戦術の特徴でした。

結局、浦和レッズでは終盤での失速、大一番で勝てず、目の前で数々のタイトルを落とし、ルヴァンカップしかタイトルを取れませんでした。
浦和レッズサポーターとしては、浦和レッズでは成功できなかったので、現職のコンサドーレ札幌では成功してほしいと思います。

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